上海市では、産業の仕分け業務が進められており、付加価値が低いと政府から判断されている工場(組み立て業、繊維業等)に対して、立ち退き命令が下されているケースが増えてきました。ケースとして多いのが、しかるべき検査を受けていないことや許可証を得ていないことを最初の理由として、立ち退き命令が下されます。背景には、産業の仕分け業務や(高付加価値産業と比較して)納税額が低いことが関係しております。
対策としては、下記で対応している工場が多いです。
①しかるべき許可証の取得、納税額アップを約束し、再開
②上海市以外の地区に移動
③工場を閉鎖し、協力工場に製造を依頼
①しかるべき許可証の取得、納税額アップを約束し、再開することについては、しかるべき許可証の取得費用が掛かる上に、納税額アップの対策(売上増加、従業員増加等)が必須となります。約束が果たせなかった場合または数年後にまた同じような問題が起こる可能性もあります。また、この対策は政府との交渉で決まるため、これまでの政府との関連性・交渉次第で条件などは大きく変わります。
②上海市以外の地区に移動については、移動費がかかること、また実質的に上海市の会社清算と上海市以外の地区に新会社設立という手続きが増えます。さらには、製造機械などの移動があれば、移動中の生産は不可となります。一方で、現在のところ、上海市近辺の開発区(平湖等)は、工場誘致に積極的なため、10年前後は、同じような政府部門からの立ち退き命令はないと考えられます。
③工場を閉鎖し、協力工場に製造を依頼することについては、現在の工場を貿易会社などに変更し、製造を協力工場に行うことになりますが、信頼のできる協力工場があれば、最もコストと時間がかからない対策となります。
上海市内での移動を検討する工場もございますが、上海市全体として上記のような動きが進んでいるため、仮に上海市内で別の区へ移動ができたとしても、短期間で同じような問題が起こる可能性が大きいです(弊社政府部門へのヒアリングより)。
参考通達等
なし