移転価格税制の対応について、下記、大きく3つにフェーズに分けられます。

①年度往来報告書の作成対応
②同時文書の作成対応
③税務調査時の対応

下記3つのフェーズについて、対象企業・対応内容・対応期限を下記の通りお伝えいたします。

①年度往来報告書の作成対応
Ⅰ、対象企業
中国にあるすべての企業が対象となります(企業所得税税法第43条)。

Ⅱ、対応内容
関連者や取引内容等の情報を年度往来報告(中国語:企业年度关联业务往来报告表)に記載します。日本でいうところの別表4に該当する報告書です。具体的な内容は下記のとおりです。

・申告企業情報(納税番号、登録地、社内組織構成、会計基準、会計ソフト等)
・関連関係者(関係関連表と国外関連者表)
・関連取引(金融資産取引、サービス取引等7種類の取引に区分して記載)
・費用分担契約(サービス開始日・終了日、契約当事者、得られる利益等を記載)
・海外支払状況(海外送金した内容を8項目に区分して記載)
・関連取引の財務分析(国内・国外と関連・非関連取引で区分される4つのセグメントで記載)
・国外報告書(国別に収入、資本金、従業員等の情報を記載)

なお、国外報告書については、下記の条件を一つでも満たす場合に作成義務があるとされています。

・多国籍企業の最終持株会社で、前事業年度の連結売上高55億人民元を超える
・多国籍企業グループによって国別報告書提出企業に指定された
・特別納税調査(税務調査)の対象となった

Ⅲ、対応期限
提出期限は、企業所得税申告日と同一の5月31日とされています。年度往来報告書の作成対応(同時文書も同様)については、2016年7月に大きな改正があり、実際には2017年5月31日まで対応すれば問題ありませんが、対応に時間がかかると予想される場合は、現段階で、対応の検討を行う必要があります。実際の報告書は、下記リンクのページの下より、ダウンロードできます。
中华人民共和国企业年度关联业务往来报告表(2016年版)
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c220851...


②同時文書
Ⅰ、対象企業
ⅰマスターファイル(中国語:主体文档)、ⅱローカルファイル(中国語:本地文档)、ⅲ特殊事項文書(中国語:特殊事项文档)の3つに分類されております。マスターファイルとは、税務局側が会社の全体像を把握するための文書で、移転価格リスクの有無を評価します。ローカルファイルとは、マスターファイルを補完する文書で、関連者間取引に係る詳細情報をまとまた文書です。特殊事項文書とは、費用分担契約或いは過少資本の状態にある企業に関する文書です。その3つの文書には、それぞれ異なる作成義務条件があり、各文書の作成義務条件は下記のとおりです(ひとつでも満たす場合は作成義務あり)。

ⅰマスターファイルの作成義務条件
・国外関連者取引が発生しており、かつ、当該企業を連結子会社とする最終持株企業が属する企業グループがすでにマスターファイルを準備している。
・関連者取引総額10 億元/年間を超えている

ⅱローカルファイルの作成義務条件(関連者取引の種類ごとに作成義務条件が定められている。事前確認(APA)を行った場合には免除)
・有形資産の所有権の譲渡金額(来料加工業務の場合、年度の輸出入通関価格に基づいて計算)が2 億元を超えている。
・ 金融資産の譲渡金額が1 億元を超えている。
・ 無形資産の所有権の譲渡金額が1 億元を超えている。
・ その他の関連者取引(関連者サービス取引、金融資産取引及び有形資産と無形資産の使用権の譲渡金額が4 千万元を超えている。)

ⅲ特殊事項文書の作成義務条件(国内関連者とのみ取引を行う企業またはAPA に係る対象取引を除く)
・費用分担契約がある企業
・過少資本規制に違反している企業(負債資本比率が2:1 を超える企業。金融機関の場合は5:1 を超える企業)

Ⅱ、対応内容
それぞれの文書の具体的な内容は、下記のとおりです。

ⅰマスターファイルの具体的内容
・組織図(株主構成、会社組織体制、パートナー企業の関係等)
・多国籍企業の事業(営業収入のトップ5及び及び収入5%を超える商品・サービスの説明等)
・無形資産(無形資産に係る戦略、所有者等)
・関連者間の金融取引(主要な融資活動、企業集団内での管理部門の状況等)
・財務と税務の状況(前年度の財務諸表等)

ⅱマスターファイルの具体的内容
 ・企業概要(組織図、部門構成人数、部門状況・政策・関連財務データ、経済及び法律上の課題等)
・関連関係(関連者の会社名、法廷代表人。株主の名前・国籍・居住地等)
・関連者取引(取引の類型、特殊性、金額、期間、プロセス、リスク分析等)
・比較性分析(分析要素、特殊性、リスク、戦略、比較対象情報源、分析手法等)
・移転価格算定方法の選定及び使用(算定方法の選定の根拠等)

ⅲ特殊事項文書の具体的内容
 ・費用分担契約書及び関連情報(契約書、実際収益及び費用の比較、予測収益等)
 ・過少資本規制にかかる関連情報(支払能力分析、資本金の変動状況、融資目的等)

Ⅲ、対応期限
作成期限はそれぞれ下記のとおりです。
 ⅰローカルファイル:関連取引発生年度の翌年6月30日
 ⅱマスターファイル:最終親会社の会計年度終了後12 か月以内 
 ⅲ特殊事項文書  :最終親会社の会計年度終了後12 か月以内 


③税務調査対応時
Ⅰ、対象企業
調査された対象会社が対応する必要があります。調査対象とされる可能性が高い企業は規定上下記のとおりです(特别纳税调整実施弁法第29 条)。

(1)関連取引の金額が大きいか、関連取引類型が多い企業
(2)長期的に欠損があるか、もしくは僅少な利益のみで、或いは利益変動が激しい企業
(3)同業者の利益水準より低い企業
(4)利益水準が負担する機能及びリスクと明らかに対応していない企業
(5)タックスヘイブンにある関連者と取引がある企業
(6)規定に従って関連申告(関連取引報告書の提出)を行わないか、或いは同期資料を準備していない企業
(7)その他、独立取引の原則から明らかに違反している企業

Ⅱ、対応内容及びⅢ、対応期限
調査対象となった場合は、同時文書の作成義務会社であれば、税務局から要請があった日から30日以内に同時文書を提出する必要があります。作成義務会社でない場合は、税務局から要請があった関連書類を税務局から要請があった日から30日以内に同時文書を提出する必要があります。上記に違反する場合は、基準金利(中国人民元貸付基準金利)に5%を加算した延滞税が発生します(特别纳税调整実施弁法第107条)。実務上は、税務局側で統計情報の一部として活用するための情報収集とされているケースが多く、特に細かい調査などが行われないこともあります。


参考通達
关于完善关联申报和同期资料管理有关事项的公告
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c220851...

特别纳税调整实施办法
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c122708...

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